現在、わが国の建築物が直面している課題、それは「老朽化対策」です。例えば、全国の公立小中学校の約7割、東京都の賃貸マンションの約5割が築年数25年を過ぎています。数多くの老朽化した建築ストックを抱える現状に対し、国は、「スクラップアンドビルド」ではなく「長寿命化改修」を行い、今ある建築ストックを有効に活用していくという方針を打ち出しています。
長寿命化改修のメリットは、建て替えよりも工事費が安価で、廃棄物や二酸化炭素の排出量が少ないことです。長寿命化改修を行うには、構造体の耐震性を確保しただけでは不十分です。時代のニーズに対応した建物への転換を図りながら、長く安心して使い続けるための適切な老朽化対策が求められます。
長寿命化改修のメリットは、建て替えよりも工事費が安価で、廃棄物や二酸化炭素の排出量が少ないことです。長寿命化改修を行うには、構造体の耐震性を確保しただけでは不十分です。時代のニーズに対応した建物への転換を図りながら、長く安心して使い続けるための適切な老朽化対策が求められます。
経年によりコンクリートの中性化が進行すると、鉄筋の腐食→鉄筋の膨張→コンクリートのひび割れ→雨水の侵入→鉄筋腐食という悪循環に陥ります。
経年劣化による外壁や窓の落下は、第三者災害や風評被害、資産価値減少など、様々なリスクが生じます。平成20年には、建築基準法の定期報告制度が見直され、所有者による建物の定期点検・報告が義務化されました。
築年数の古い建物は、壁や窓の断熱性能の低いものが多く、エネルギー消費面で無駄が生じやすい状況です。省エネ化は、エネルギー消費を抑えながら快適かつ健康的に住まい続けるために重要な要素となります。
経年劣化により、雨漏りや設備機器、配管の破損なども大きな課題です。
外断熱は、断熱材によりコンクリート躯体を保護するため、中性化の抑制に役立ちます。外断熱をした場合の中性化の進行は、無断熱・内断熱の場合と比べ、1/3程度に抑制されるといわれています。(図1・2) 外断熱の建物は、中性化が屋内側から進行します。その場合、かぶり厚さを2cm通過した時点で鉄筋の腐食が始まります。
経年劣化によるタイルなどの外壁の落下事故が相次いでいます。外断熱改修は、外壁全面の安全性を確保すると同時に、建物の省エネ化を行うことができます。(図3)※外壁剥落防止仕様の場合
壁の外側に断熱材があることで、コンクリートの温度は外気の影響を受けにくく、冬季の結露防止に効果があります。また、それによるカビやダニの発生リスクを抑えます。
外壁の断熱性能が向上することで、コンクリートを通じた熱負荷が低減されます。冷暖房効率が向上し、空調費の削減に繋がります。
躯体の断熱化を行う外断熱改修は、省エネ関連の補助金を活用することができます。国土交通省の「建築物省エネ改修推進事業」では、省エネ改修費用の1/3の補助が受けられます。私たちが提案した外断熱改修は、省エネ率の高さからこれまで非常に高い確率で採択されています。
※採択には審査があります。(平成26年7月現在)